『神はわがやぐら』(ドイツ語: Ein feste Burg ist unser Gott)は、マルティン・ルターの最もよく知られた讃美歌である。ルターは1527年から1529年の間に歌詞を書き、旋律を作曲した。この讃美歌は、英語をはじめとして多くの言語に訳された。聖書箇所は詩篇46篇である。英語ではフリデリック・ヘッジとトーマス・カーライルの訳が知られる。日本福音連盟の『聖歌』は『み神は城なり』と訳している。
歴史
『神はわがやぐら』は、ルーテル派とプロテスタントの伝統において最も歌われる愛唱歌の一つである。これは「宗教改革の戦いの讃美歌」と呼ばれ、宗教改革者たちをよく助けた。
この讃美歌について4つの話が伝わっている。
- ハインリヒ・ハイネは、1521年4月16日ヴォルムス国会の時に歌われたとする。
- シュナイダーは、1527年8月16日に処刑されたプロテスタント殉教者でルターの友人、レーオンハルトカイザーの記念とする。
- Jean-Henri Merle d'Aubignéは、1530年のアウクスブルク信仰告白の時に歌われたとする。
- ルーテル派の君主たちが1529年の第2回シュパイアー帝国議会でカール5世に抗議(プロテスト)した時のものであるとする。
現存する讃美歌集では1531年の収録がもっとも古いが、1529年、1528年の讃美歌集にも収録されていたと考えられている。伝承では三十年戦争時に、スウェーデン王グスタフ2世アドルフが歌ったという。讃美歌は1536年すでにスウェーデン語に訳されていた。最初の英訳は1539年、Myles Coverdaleの手による。
また、日本ルーテル・アワー製作のラジオ伝道番組「ルーテル・アワー」、「この人を見よ」のオープニングテーマとしても使用された。
旋律
ルターのオリジナルの旋律はこの時代の音楽に一定な拍子が無かったためリズミックであるが、現在よく歌われるものは均等な拍節と一定の拍子を持ったものに直されたものである。19世紀の音楽学者たちは、この讃美歌がルターの作になることを否定したが、さらに研究が進むにつれて、再度ルター作だと考えられるようになった。今日の音楽学者には歌詞と旋律がルター作だという同意がある。
編曲
ヨハン・ゼバスティアン・バッハのカンタータ80番『われらが神は堅き砦』を始め、多くの作曲家によって編曲された。ヨハン・ゼバスティアン・バッハの4声コラール集(Choralgesänge、BWV302、BWV303)にも収録される。フェリックス・メンデルスゾーンは、交響曲第5番『宗教改革』のフィナーレに使った。また、マックス・レーガーもこのコラール旋律にもとづいたオルガン・コラール変奏曲を書いている(作品27)。ジャコモ・マイアベーアは、オペラ『ユグノー教徒』(1836年)に使った。リヒャルト・ワーグナーは、『皇帝行進曲』(Kaisermarsch)のモチーフとして使った。
聖句
所収
- 讃美歌 (1954年版) 267番
- 聖歌 233番
- 聖歌 (総合版) 202番
- 讃美歌21 377番
- 新聖歌 280番
- 教会讃美歌 450番
- 日本聖公会聖歌集 453番
原語のドイツ語テキスト
現代ドイツ語とは異なるところがある。冒頭一語目の不定冠詞 ein からして、現代語では後ろの Burg が女性名詞であることに呼応して eine となるところである。
讃美歌1903年
歌詞翻訳
脚注
外部リンク
- Lyrics, Music, and MIDI file at CyberHymnal
- Version by Thomas Carlyle
- Psalm 46 in the King James version
- Psalms 46-50 in the 1662 Book of Common Prayer translation (Coverdale)
- 他のヴァージョン
- Catherine Winkworth
- Hymns of Martin Luther




