地球楕円体(ちきゅうだえんたい、英: Earth ellipsoid)とは、測地学において地球のジオイド(平均海面)の形に近似した回転楕円体(扁球)を指す。その中心は地球の重心に、短軸は自転軸に一致させる。
現在の測地系は陸域ではGRS80地球楕円体を採用する場合が多い。測地測量の基準として用いる地球楕円体は「準拠楕円体」とも呼ぶ。
地球楕円体の面に沿った経線弧(南北方向の測地線)を子午線弧と呼ぶ。歴史的には、子午線弧の研究を通じて、地球が球体を成していることが示され、また地球楕円体は、赤道半径に比べて極半径の小さい扁球なのか、それとも長球なのかを決める研究が行われた。
GRS80楕円体
GRS80は準拠楕円体のひとつで、現在世界の測地系で最も広く使われている。GRS80楕円体の長半径(赤道半径)a 及び扁平率 f は、
肉眼だと、扁平率約1/300の回転楕円体と真球とを区別できない。 ただし、現実の地球上ではこの歪み(赤道半径と極半径の差)が約21kmに達する。
WGS84楕円体
海域の測地系はWGS84を用いることが多い。WGS84楕円体の扁平率 f は、GRS80楕円体とはごく僅か異なっている。
この差異は、地球の短半径(極半径)にすると、約0.105mmだけ異なるものであり、実用上は全く問題とはならない差異である。
WGS84楕円体は元々はGRS80を基にしたものではあるが、数値の導出過程が異なっている。すなわち、扁平率を決定するに当たって、正規化された2次の帯調和重力係数から計算により導出した際に、基となるGRS80の力学的形状係数J2の有効数字を8桁で打ち切ったために、僅かな差が発生したのである。
日本
日本における準拠楕円体は、2002年までベッセルにより算出された値(ベッセル楕円体)を採用していた(「日本測地系」と呼称)が、海図の国際利用や精密な位置情報にもとづくGISデータの整備の障害になりつつあったため、2002年4月1日から世界測地系としてGRS80地球楕円体が準拠楕円体として採用された。この新しい準拠楕円体の長半径(赤道半径)a 及び扁平率 f の値は、測量法施行令第3条により定義され、GRS80楕円体の値である。
海上
なお、日本の水路業務法施行令第2条で定められている扁平率の値は、WGS84楕円体の値である。したがって上記の定義とはごくわずか異なっている。
各種の準拠楕円体
出典
関連項目
- 楕円体
- 回転楕円体
- 測地系
- 扁平率
- ジオイド
- 測地学
- ヘイフォード楕円体
- 測地線#回転楕円体面上の測地線
参考文献
- 国立天文台編『理科年表 平成22年』丸善、2009年。ISBN 978-4-621-08190-7。https://web.archive.org/web/20060703125140/http://www.rikanenpyo.jp/。
外部リンク
- 『測地学テキスト』、日本測地学会、2004年。
- 地球楕円体については、「2-1-3 地球楕円体」の節で解説されている。




